先週の新興市場では、3月15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表やオランダ議会選挙など重要イベントを前に手仕舞いの動きが広がった。ここまで株価の強い上昇が続いていた銘柄を中心に大きく値を崩した。その後はイベント通過で買いが入る場面もあったものの、トレンド転換が意識されて売りの勢いが強まっている。IPOラッシュが本格的にスタートし、市場の関心は新規上場銘柄に向かった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-0.4%であったのに対して、マザーズ指数は-4.8%、日経ジャスダック平均は-1.2%だった。<br/><br/>個別では、マザーズ時価総額上位のミクシィ<2121>が週間で1.6%安、サイバーダイン<7779>が同4.2%安と軟調だった。そーせいグループ<4565>は同14.9%安と大きく下げた。来期業績が視野に入り、手仕舞い売りの流れとなったようだ。売買代金上位では、ディー・ディー・エス<3782>、レノバ<9519>、エルテス<3967>など週間の下落率が2ケタに達する銘柄も目立った。一方、ジーエヌアイグループ<2160>やアカツキ<3932>はプラスを確保し、クラウドワークス<3900>は一部報道を受けてクラウドソーシング関連として人気化する場面があった。ジャスダック主力では、クルーズ<2138>が同8.2%高、エン・ジャパン<4849>が同5.1%高となったが、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>は同5.8%安と軟調だった。売買代金上位では、スマートフォンゲーム「A3!」への期待が高いアエリア<3758>の活況が続き、ウェッジHD<2388>がリバウンドを見せた。反面、第三者割当増資を発表したアスコット<3264>などが売られた。IPOでは5社が新規上場したが、このうち注目されたほぼ日<3560>やファイズ<9325>が初日値付かずの高い人気となった。うるる<3979>やビーグリー<3981>はセカンダリーで買いを集め、ジャパンエレベーターサービスHD<6544>は初値形成後にストップ高を付けた。<br/><br/>今週の新興市場では、マザーズ指数の調整が続きそうだ。3月いっぱいはIPOラッシュが続くため、既上場銘柄には換金売り圧力がかかる。また、マザーズ銘柄の一角は前週の急落で需給悪化が鮮明となり、積極的な押し目買いは入りづらいだろう。こうした市場環境から、需給面の重しがない新規上場銘柄には個人投資家の資金が向かいやすく、IPO市場が活況となりそうだ。<br/><br/>今週は3月20日からドイツで世界最大級のIT見本市「CeBIT2017」が開催され、人工知能(AI)やビッグデータ、IoT(モノのインターネット)などの関連銘柄に関心が向かうか。また、日本では23日から「AnimeJapan 2017」が開催される。ブロッコリー<2706>やIGポート<3791>といった出展企業は事前に人気化する場面があったものの、動向に注目したい。なお、3月23日にはオプトエレクトロニクス<6664>が決算発表を予定している。<br/><br/>IPO関連では、3月21日の力の源HD<3561>など7社が新規上場を予定している。ラーメン店「一風堂」を展開する力の源HDや、介護専門サイトの運営等を行うインターネットインフィニティー<6545>などは人気が高く、公開規模に軽量感もあって初値を飛ばしそうだ。一方、再上場のマクロミル<3978>は公開規模の大きさから落ち着いた初値スタートが想定される。なお、先週は旅工房<6548>(4月10日、マザーズ)の新規上場が発表されている。<br/><br/><br/>

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