先週の新興市場は、マザーズ指数、日経ジャスダック平均ともに上昇した。8月ADP雇用統計など堅調な米経済指標を受けて、円安・株高期待が高まるなか、出遅れ感のあった中小型株にも物色が向かった。マザーズ売買代金は8月29日に約3年4ヶ月ぶりの低水準となり、その後やや持ち直したものの活況には遠い状況が続いている。なお、週間の騰落率は、日経平均が+3.5%であったのに対して、マザーズ指数は+1.9%、日経ジャスダック平均は+0.6%だった。マザーズ指数は5日続伸した。<br/><br/>個別では、マザーズ時価総額上位のそーせいグループ<4565>が週間で1.3%安となる一方、ミクシィ<2121>は同2.6%高、サイバーダイン<7779>は同8.9%高と堅調だった。サイバーダインは週後半にかけてリバウンドを見せた。VR(仮想現実)関連のカヤック<3904>、「ZMPフォーラム」で講演を行ったAWS-HD<3937>も買われた。また、8月受注額が評価されたインスペック<6656>、位置情報ゲームのモバイルファクトリー<3912>が週間上昇率上位となった。一方、TOKYO BASE<3415>やBEENOS<3328>が売られた。ジャスダックではハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同5.4%安、エン・ジャパン<4849>が同7.5%安と軟調だったが、セプテーニ・HD<4293>は同4.1%高となった。極楽湯<2340>が活況となる一方、シライ電子工業<6658>は信用規制実施もあり利益確定売りに押された。また、新ゲームが期待材料のアエリア<3758>、新規化合物の創出が材料視されたカルナバイオサイエンス<4572>は急伸した。反面、モジュレ<3043>やアイレックス<6944>が下落率上位に並んだ。IPOでは、8月31日にデファクトスタンダード<3545>、9月2日にベイカレント・コンサルティング<6532>がともにマザーズへ新規上場した。デファクトスタンダードは公開価格を4割程度上回る堅調な初値形成となったが、ベイカレント・コンサルティングは公開規模が非常に大きく、公開価格を下回るスタートとなった。<br/><br/>今週の新興市場では、前週末に発表された米8月雇用統計を受けて円相場が下落し、週明けは日経平均の17000円台回復が見込まれるなか、中小型株にもリバウンド期待がじわりと広がりそうだ。主力株の一角で値動きの悪さを嫌気する向きもあるが、リリースや各種イベントを手掛かりとした材料株・テーマ株物色は活発となってきており、循環物色の流れが中小型株相場を押し上げるだろう。<br/><br/>今週は9月8日にアスカネット<2438>、鎌倉新書<6184>、9日にフルスピード<2159>、モルフォ<3653>、アイリッジ<3917>、イトクロ<6049>、インスペックなどが決算発表を予定している。イトクロは従前に業績観測が報じられている。また、前回本稿で述べたとおり、9月中旬の「東京ゲームショウ2016」に向けてゲーム株やVR関連株への関心が高まっているが、9月7日まで開催中の家電見本市「IFA 2016」や7日(現地時間)に行われる米アップルのイベントなどにも注目しておきたい。<br/><br/>IPO関連では、串カツ田中<3547>とノムラシステムコーポレーション<3940>のブックビルディング(BB)期間が9月5日までとなっているほか、今週新たにバリューデザイン<3960>など4社が開始される予定となっている。先週2日までBB期間だったデジタルアイデンティティ<6533>とカナミックネットワーク<3939>は高い人気を得ていたようだ。<br/><br/><br/>

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