先週の新興市場は、マザーズ指数が下落する一方、日経ジャスダック平均がしっかりとまちまちだった。週末にジャクソンホール会合でのイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を控え、相場全体に様子見ムードが強まると、新興市場では短期の値幅取り狙いで材料株やテーマ株に循環的な物色が向かった。しかし、積極的に買い進む動きは限定的で、売買代金は引き続き低調に推移した。週末にかけてマザーズではイベント前の手仕舞い売りが広がった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-1.1%であったのに対して、マザーズ指数は-2.1%、日経ジャスダック平均は+0.7%だった。<br/><br/>個別では、マザーズ時価総額上位のミクシィ<2121>が週間で7.0%安となったほか、そーせいグループ<4565>が同2.8%安、サイバーダイン<7779>が同2.8%安だった。ミクシィは一部証券会社の目標株価引き下げが観測された。売買代金上位ではモブキャスト<3664>が新作ゲームの展開に注目が集まり同9.2%高と堅調だった。また、監理銘柄(審査中)に指定されたエナリス<6079>が思惑から買われ、カヤック<3904>がリリースを受けて急伸した。一方で臨床試験の結果を受けてメドレックス<4586>が売られた。ジャスダックではハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同9.6%安、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム<4281>が同8.2%安と軟調だったが、セリア<2782>が同3.1%高、エン・ジャパン<4849>が同1.9%高としっかり。上期業績予想を上方修正したユニバーサルエンターテインメント<6425>は同7.5%高だった。その他ジャスダック銘柄では、シライ電子工業<6658>が大商いとなり急伸し、極楽湯<2340>がリリースをきっかけに週末にかけて買われた。業績面やテーマ性が注目されたタツモ<6266>も大きく上昇した。反面、UTグループ<2146>やフューチャーベンチャーキャピタル<8462>などが下落率上位に並んだ。<br/><br/>今週の新興市場は、イエレンFRB議長講演を通過して投資家の警戒ムードが後退し、買いが先行することが想定される。しかし、週末には米8月雇用統計の発表を控え、再び様子見ムードが強まりそうだ。新興市場の売買低迷が続くなか、一部の強い値動きを見せる銘柄に物色が集中しやすい。また、今週よりIPOが再開されるが、需給面の重しのない新規上場銘柄は買いを集めやすいだろう。<br/><br/>前週はカヤックの急伸もあり、ゲーム開発者向けイベント「CEDEC 2016」が注目されたが、9月には「東京ゲームショウ2016」、10月には「PlayStation VR」発売も控えており、引き続きゲーム株やVR(仮想現実)関連株の動向を注視しておきたい。なお、今週は8月31日にトリケミカル研究所<4369>、ACCESS<4813>、9月1日にピープル<7865>などが決算発表を予定している。<br/><br/>IPO関連では、8月31日にデファクトスタンダード<3545>、9月2日にベイカレント・コンサルティング<6532>がともにマザーズへ新規上場する。デファクトスタンダードは知名度の高さに加え、約1ヶ月ぶりのIPOで初値買い意欲の高まりも期待され、堅調な初値形成となりそうだ。一方、ベイカレント・コンサルティングは公開規模がマザーズ上場案件としては非常に大きく、警戒感が強まっているようだ。なお、先週はバリューデザイン<3960>(9月26日、マザーズ)など6社の新規上場が発表されている。<br/><br/><br/>

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