先週の新興市場は、円高進行などを受けて日経平均が軟調な展開となるなか、マザーズ指数の強い動きが目立った。週末こそ日経平均の大幅下落に連れて利益確定売りに押されたが、外部環境の影響を受けにくい新興市場銘柄、とりわけ値動きの軽い小型株への個人投資家の物色が続いた。マザーズ指数は3月29日に節目の1000ptを回復したのち、15年7月以来の高値水準まで上昇する場面があった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-4.9%であったのに対して、マザーズ指数は+2.7%、日経ジャスダック平均は-1.6%だった。

個別では、ミクシィ<2121>が週間で0.7%安、そーせいグループ<4565>が同4.5%安となる一方、サイバーダイン<7779>が同6.4%高となるなどマザーズ時価総額上位はまちまち。ただ、アキュセラ<4589>、インベスターズクラウド<1435>、ジグソー<3914>は軒並み2ケタの上昇率となった。また、マザーズでは主力ゲームの好調推移が材料視された直近IPO銘柄のアカツキ<3932>や、グリーンペプタイド<4594>、MRT<6034>が買われたが、前週まで上昇の目立ったPCI HD<3918>やALBERT<3906>は利益確定売りに押された。ジャスダック主力ではクルーズ<2138>が同4.7%高、イリソ電子工業<6908>が同8.8%高となったが、ノジマ<7419>が同7.7%安、エン・ジャパン<4849>が同11.9%安となった。また、フジタコーポレーション<3370>が連日のストップ高となったほか、日本エマージェンシーアシスタンス<6063>、幼児活動研究会<2152>の上昇が目立った。反面、チエル<3933>や昭和真空<6384>が売られた。IPOでは、3月31日にPR TIMES<3922>、エボラブルアジア<6191>がともにマザーズへ新規上場した。いずれも公開価格を上回る堅調な初値を付けたが、エボラブルアジアはセカンダリーでもインバウンド関連として人気を集め、上場2日目にはストップ高まで上昇した。

今週の新興市場は、マザーズ指数の上昇トレンドが続きそうだ。米国の早期利上げ観測が後退して、為替相場は円高基調となっている。主力輸出株では円高進行に伴い業績下振れへの警戒感が強まっており、引き続き中小型株に物色が向かいやすい。マザーズ指数が1000ptを上回る水準では利益確定の動きも見られるが、これをこなしてしっかりした値動きとなるだろう。

政府が待機児童解消に向けた緊急対策や、訪日外国人数の新目標を発表したことで、政策期待の高まっている保育関連や民泊関連の動向は引き続き注視したい。旅館業法施行令の改正で4月より民泊が事実上解禁された。依然制約は多いものの、関連ビジネスの立ち上がりが注目されよう。なお、今週は4月5日にフロイント産業<6312>、6日にエヌ・ピー・シー<6255>、8日にコシダカHD<2157>、アウンコンサルティング<2459>、ブロッコリー<2706>、ファーストブラザーズ<3454>、デザインワン・ジャパン<6048>などが決算発表を予定している。

IPO関連では、4月5日にハイアス・アンド・カンパニー<6192>がマザーズへ、8日に丸八HD<3504>が名証2部へそれぞれ新規上場する。ハイアス・アンド・カンパニーは公開規模の小さなマザーズ上場案件として、事前の人気が高かった。一方、丸八HDは老舗寝具メーカーとして知名度が高いものの、地方市場への上場で注目を集めにくいか。




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