<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
ドル円は、東京市場で117円台半ばまで円安が進んだ流れを継続し、NY市場では118円09銭まで一段と円安が進行。FOMC議事録発表後に一旦ドル売りが優勢となる場面もあったが、引けにかけては再び118円前後まで上昇。
ユーロドルでは「ドル安」が進み、一時は1.26台乗せまでユーロが買われた。ユーロは対円でも148円台まで上昇し、円は先安観の残るユーロに対しても大幅に下落。
株式市場はFOMCで慎重な景気見通しが示されたことで下落。ダウは2ドル安となり、他の主要指数も下落。
債券相場は続落。来年中頃の利上げ見通しに変化はなかったことで売りが優勢となった。
金は反落。原油は小幅ながら3日続落。
10月住宅着工件数 → 100.9万件
10月建設許可件数 → 108万件
ドル/円117.40~ 118.09
ユーロ/ドル1.2524 ~ 1.2602
ユーロ/円147.37 ~ 148.08
NYダウ -2.09 → 17,685.73ドル
GOLD-3.20 → 1,193.90ドル
WTI-0.03 → 74.58ドル
米10年国債 +0.037 → 2.357%
【本日の注目イベント】
日 10月貿易収支
中 中国 11月HSBC製造業PMI(速報値)
独 独10月生産者物価指数
独 独11月製造業PMI(速報値)
独 独11月サービス業PMI(速報値)
欧 ユーロ圏11月製造業PMI(速報値)
欧 ユーロ圏11月サービス業PMI(速報値)
欧 ユーロ圏11月消費者信頼感(速報値)
英 英10月小売売上高
米 10月消費者物価指数
米 10月中古住宅販売件数
米 新規失業保険申請件数
米 11月フィラデルフィア連銀景況指数
米 ロレッタ・クリーブランド連銀総裁講演
ドル円はついにNY市場で118円台に乗せ、118円09銭までドル高円安が進みました。昨日の動きを見ると、「ドル高」ではなく、明らかに「円安」が進んだと言うべきでしょう。ユーロドルでは「ユーロ高ドル安」に振れたため、ユーロ円は2008年10月以来となる148円台まで「円安」が進みました。昨日に限っては「過熱感」もなく、ゆっくりと、しかし「着実」にドル円は上昇しました。
昨日の日経平均株価は小幅に下落し、NYダウも上昇する場面もありましたが、結局前日比小幅安で引けています。また、米長期金利も小幅に上昇したとはいえ、いまだに2.35%台で低水準です。ドル円の動きは、もはやこれら関連性の強い金融市場の動きとは乖離し、独立した動きになっています。117円台や118円ではドル売りのオーダーもそこそこあったと思われますが、いったい誰がドル円を買っているのでしょう?ここまで来たら120円を見ないと終わらない相場なのかもしれません。
FOMC議事録では「多くの参加者は、FOMCは中長期のインフレ期待が下降方向にシフトする可能性があることを示す兆候に、引き続き注意を払うべきだと表明した」とあり、利上げのタイミングは、今後入手する経済データに左右されることが強調されていました。(ブルームバーグ)従って、今回公表された議事録では特に「タカ派的」でもなく、為替への影響はなかったといえます。
昨日の午後3時半から行われた黒田日銀総裁の記者会見も注目されていましたが無難に終わり、特に現在の為替の水準に関してこれまで述べてきたように「円安は日本経済にとってはプラス」といった発言はありませんでした。ただ、物価上昇率については「1%割れがあるかもしれない」という認識を示し、先月末の市場に衝撃を与えた「追加緩和」については、「2%の物価上昇を達成するために行った」との認識を示しました。また、「増税を先送りした場合の混乱には対処できない」と先に発言したことについては、「リスクが無視できるほど小さいとは思わない」としながらも、「そういったことが実際に起こる確率は非常に小さい」と述べています。
ドル円は今朝方にも118円27銭まで上昇し、市場の関心はどこまで上昇するのかという点に絞られています。どう見ても買われすぎとの印象は拭えませんが、「3歩前進して1歩後退」という動きは続いています。買われすぎだといっても、「それが市場だ」といってしまえばその通りですが、上述したように、ここまでくれば
120円を目指すということかもしれません。最後は誰が「ババを引くか」という状況になっています。買い進むのもリスクがあると思いますが、安易に売るのもリスクがあるかもしれません。予想レンジは117円70銭~118円70銭程度にしたいと思いますが、予想が難しい状況が続いています。