<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
ドル円は110円台を回復しただけでなく、111円にも迫ろうかという水準までドル高が進む。長期金利が上昇し、経済指標も概ね良好だったこともあったが、前日の経済指標にネガティブに反応しすぎた揺り戻しと見られる。
ユーロドルは反落。1.1132まで売られ上値も1.1台半ばで限られた。ギリシャの支援問題が再び蒸し返されたとの指摘も。
株式市場は揃って下落。ハイテク株が売られ、ダウは14ドル安。ナスダック、S&P500も続落。
債券市場は反落。欧州債の下落が影響し売り物が優勢に。長期金利は2.16%台まで上昇。
ドルが急反発したことで金は21ドルを超える大幅安。原油は小幅ながら続落。
新規失業保険申請件数 → 23.7万件
6月NY連銀製造業景気指数 → 19.80
6月フィラデルフィア連銀景況指数 → 27.6
5月鉱工業生産 → 0.0%
6月NAHB住宅市場指数 → 67
5月設備稼働率 → 76.6
ドル/円110.09~ 110.98
ユーロ/ドル1.1132~ 1.1169
ユーロ/円122.89~ 123.71
NYダウ -14.66 → 21,359.90
GOLD -21.30 →1,254.60ドル
WTI -0.27 → 44.46ドル
米10年国債 +0.038 → 2.164%
【本日の注目イベント】
日 日銀金融政策決定会合
日 黒田日銀総裁記者会見
欧 ユーロ圏5月消費者物価指数(改定値)
米 5月住宅着工件数
米 5月建設許可件数
米 5月労働市場情勢指数(LMCI)
米 6月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
前日、FOMCの政策発表前に消費者物価指数などに反応し、108円台まで ドル安が進んだことには驚きましたが、わずか1日でその水準を回復し、 さらに111円近くまでドルが反発したことにも驚きです。 結局「往って来い」の展開で、そもそも利上げとFRBのバランスシート縮小 プログラムは「ドル買い材料」だったと言うことです。
チャートでは、これで再び110-112円のレンジに戻った形が伺えますが、 前日の急落でも108円81銭で下げ止まり、そこから1円ほど戻しており、 そこにある「52週移動平均線」が機能していたことが分かります。 また、「週足の雲」もしっかりサポートしていたこともあります。 108円台はやはり相当硬いサポートゾーンだったと言えます。
昨日は多くの経済指標が発表されましたが概ね良好で、これがドルを支えた わけですが、特にNY連銀製造業景況指数は「19.80」と、市場予想の「5.0」 から大きく上振れしました。
因みにこの数字は今年最もいい数字で、4月は「マイナス1」でした。 また失業保険申請件数も予想を下回り、こちらも良好でした。 FOMC声明では「年内のバランスシート縮小」を示唆していましたが、早ければ9月にも 開始されるとの見方が強まってきました。
豪ドル円がちょうど1カ月ぶりに84円台前半まで上昇してきています。 昨日発表された雇用統計の内容が良かったことで、「利上げ」はまだ先のこととしても、 「利下げ」の可能性がほぼなくなったと見られることが背景です。 5月の正規雇用者数は5万2100人と、市場予想を大きく上回ったばかりか、 失業率も5.5%と、約4年ぶりの低水準です。 これまでは消費と労働市場で低迷が続いており、利下げの可能性も残していましたが、 一方で、シドニーやメルボルンなどの都市部では住宅価格の上昇が続き、利下げも できない状況でした。 もうしばらくはデータを見る必要がありますが、労働市場の安定が見込めるようなら、 利上げの可能性も浮上することになります。 目先の上値のメドは84円45銭前後と、84円70-80銭あたりかと 思われます。上記水準を明確に上抜けできるかどうかが焦点です。
本日は円安が進んだことで、日本株もしっかりでしょう。 ただそれでもNY株が下落したことで、上値は限られそうですが、2万円の 大台を回復できれば、ドル円の111円台乗せもありそうです。 予想レンジは110円30銭~111円30銭程度とします。
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