<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
ドル円は109円台を維持できず反落。経済指標もいまいちで、金利低下や株安に反応し、108円台前半までドルは下落。
ドル安の流れにユーロドルも急伸。一時は1.0736と、約3週間ぶりのユーロ高に。
ポンドが大幅に上昇。メイ首相が解散総選挙を行うことを表明したことで、対ドルでは1.29台に乗せる。
株式市場は反落。ゴールドマンの決算が市場予想に届かなかったことで大幅に下落し、ダウ全体の足を引っ張った。ダウは113ドル安で取引を終える。
債券相場は反発し、長期金利は今年最低水準にまで低下。朝鮮半島での緊張や、欧州での政治リスクを手がかりに買われる。長期金利は2.16%台まで急低下。
金は買われ5日続伸。原油は続落。
3月住宅着工件数 → 121.5万件
3月建設許可件数 → 126.0万件
3月鉱工業生産 → +0.5%
3月設備稼働率 → 76.1%
ドル/円108.32 ~ 108.95
ユーロ/ドル1.0677~ 1.0736
ユーロ/円115.98~ 116.49
NYダウ -113.64 → 20,523.28ドル
GOLD +2.20 →1,294.10ドル
WTI -0.24 → 52.41ドル
米10年国債 -0.082 → 2.168%
【本日の注目イベント】
欧 ユーロ圏2月貿易収支
欧 ユーロ圏3月消費者物価指数(確定値)
米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
米 企業決算 → モルガンス・タンレー、ブラックロック、アメックス
昨日の東京時間には109円21銭あたりまで上昇したドル円。やはり上値は重く109円台は維持できなかったばかりか、108円台前半までドル売りが進み、再び108円割れを試す雰囲気が漂ってきました。昨日のこの欄でも指摘したように、109円20-25銭に集まっている抵抗帯で上昇を抑えられた格好でした。
朝鮮半島での緊張の高まりやフランス大統領選に加え、昨日はイギリスのメイ首相が突然「解散総選挙」を行うことを表明し、欧州での政治リスクが高まってきました。さらに、昨日発表された米住宅関連の指標は予想を下回り、消費者物価指数の伸びの鈍化と伴に、FRBによる利上げ観測もやや足踏み状態です。これらを材料に米国債には再び資金が向かい、10年債利回りは2.16%台まで低下(価格は上昇)してきました。
日米金利差の縮小はドルが売られ易いことから、ドル円の上昇力が急速に低下しているのが足元の動きです。また日本株に目を移しても、連日年初来安値を更新しており、東証1部の売買代金も今週は2日連続で2兆円を大きく割りこんでおり、盛り上がりません。個人も含め、投資家の多くがリスクに対して身構え、慎重な姿勢を崩していないことが表れています。
このような状態で、ドル円はなかなか浮上のきっかけをつかめない状況です。昨年12月にはトランプラリーで、118円台半ばまで上昇したドル円でしたが、すでにその上昇分の半分は吐き出しています。108円を割り込むと105円台も視野に入ってきそうです。まだ米利上げ観測がなくなったわけではなく、ここがドル下落の際の支えになっているのも事実ですが、2015年、16年のように利上げ観測が急速に後退し、「わずか一回」しか実施できないような状況になると「年後半にかけてドル高が進む」とうメインシナリオそのものが修正を余儀なくされることになります。このように、さまざまなリスクが顕在化しており、なかなかドルを素直に買える状況にはなっていません。まだしばらくは「ドルの戻り売り」が機能する状況が続きそうです。本日の予想レンジは108円~109円程度とみますが、108円台を維持できるかどうかが一つのポイントでもあります。