<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
ドル円はFOMC議事録公表後に112円91銭まで下落したが、米財務長官がドル高は「良いことだ」との認識を示したことが伝わると113円台半まで反発。112円台後半から113円台半ばにかけて乱高下。
ユーロドルは1.05を割り込む場面があったが反発。1. 0574まで上昇するも、政治的リスクを徐々に織り込み上値が重い。
株式市場はまちまちだったが、ダウは9営業日連続で最高値を更新する。S&P500とナスダックは小幅に反落。
債券相場は小幅に上昇。FOMC議事録では早期利上げには前向きだったものの、3月利上げへの示唆はなかった。
金と原油はともに下落。
1月中古住宅販売件数 → 569万件
ドル/円112.91 ~ 113.66
ユーロ/ドル1.0496~ 1.0574
ユーロ/円118.74 ~ 119.86
NYダウ +32.60 → 20,775.60ドル
GOLD -5.60 →1,233.30ドル
WTI -0.74 → 53.59ドル
米10年国債 -0.014 → 2.415%
【本日の注目イベント】
独 独10-12月期GDP(改定値)
欧 企業決算 → バークレイズ、プジョー
米 新規失業保険申請件数
米 12月FHFA住宅価格指数
米 ロックハート・アトランタ連銀総裁講演
公表されたFOMC議事録では、ドル高が懸念されたことが明らかになったことでドル円は113円を割り込み112円91銭まで下落。また議事録では早期の利上げは適切だとしたものの、3月利上げには触れていなかったこともあり、議事録を巡って為替は上下しました。
ドル円は昨日の朝方から上値が重く、緩やかに下落していましたが、NYではダウが9営業日連続で最高値を更新し、実に30年ぶりの快挙です。株高でもう少し「リスクオン」が進んでもよさそうな状況ですが、ドル円はむしろ下落基調です。これは、「リスクオン」「リスクオフ」というよりも、米利上げのタイミングが影響しているものと思われます。
議事録では多くのメンバーが早期の利上げが適切になると予想していることが判明したにもかかわらず、金利先物市場での3月利上げの確率は上昇していません。株価の上昇はこの動きと一致し、ドル円が上昇しないことの説明にもなります。つまり、3月利上げはないとの見方が、株価を押し上げドル円を下げている背景かと考えられます。
議事録によると、金融政策当局者は緩やかなペースでの利上げに対する自信を示しつつ、景気が過熱するリスクを回避するため「かなり早期」の利上げが適切になる可能性があると指摘しています。また、トランプ政権の財政面での刺激策からドル高がもたらし得る向かい風に至るさまざまな問題を巡る不確実性への対応に、当局者が苦慮していることも示されています。(ブルームバーグ)
ドル円は一時112円91銭まで下げた後、113円59銭近辺まで上昇し、その後再び113円を割り込み、113円台前半でNYでの取引を終えています。かなり乱高下しましたが、これは議事録の内容だけではなく、ムニューチン財務長官がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙で、「強いドルが長期的に良いことだ」と述べ、人々が米経済に抱いている信頼や、米経済の他国と比べたパフォーマンスを反映していると語ったことが、ドルを押し上げたようです。またFRBのパウエル理事も条件つきながら「緩やかな利上げは、かなり早期のタイミングも含めて適切になるというのが私の見方だ」と述べ、3月の行動は検討されるかとの質問には、一瞬間を置いてから「イエス」と答えています。(ブルームバーグ)
ドル円は基本的には111-115円のレンジ内で推移するものの、なかなか読みにくい展開です。トランプ税制の中身や、一般教書演説の内容、さらには3月利上げを巡る思惑など、不確定要素が多い上に、欧州でも徐々に政治的リスクが高まっている状況です。予想レンジは112円70銭~113円80銭程度とします。
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