<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
ドル円は日銀が決定会合で政策維持を決めたことで下値を試したものの、119円75銭で下げ止まる。NY株価が続伸したことや、長期金利の上昇を手がかりに120円台に乗せて取引を終える。
ユーロドルはドイツの鉱工業生産が予想を下回ったことで、追加緩和期待が高まりユーロが下落。それでも1.12台で方向感は見極めにくい展開が続く。
株式市場は続伸。海外市場での株高を受けて上昇したが、原油価格が急落したことでマイナス圏に。午後には再び買い戻されて終わる。S&P500は8月の急落以来の高値に。
債券相場は反落。株高から売られたものの、入札が高水準だったことから下げ渋る。長期金利は2.06%台に上昇。
金は4日続伸。原油価格は在庫が予想以上に膨らんでいたことで下落。一時は前日の上昇分を吐き出したが、引けは72セント安。
10月消費者信用残高 → 160.2億ドル
ドル/円119.75 ~ 120.15
ユーロ/ドル1.1211~ 1.1273
ユーロ/円134.61 ~ 135.38
NYダウ +122.10 → 16,912.29ドル
GOLD +2.30 → 1,148.70ドル
WTI -0.72 → 47.81ドル
米10年国債 +0.032 → 2.065%
【本日の注目イベント】
日 8月国際収支
日 9月景気ウォッチャー調査
独 独8月貿易収支
欧 ECB議事要旨
英 BOE金融政策発表
米 新規失業保険申請件数
米 FOMC議事録(9月16、17日分)
米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
米 コチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁講演
米 ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁講演
加 カナダ9月住宅着工件数
昨日日銀は、金融政策決定会合で予想通り追加緩和は行いませんでした。そして、この欄でも述べたように、「現状維持」が伝わると、ドル円は120円25銭近辺から119円77銭まで急落しました。ただ、その後株価の方が上昇幅を拡大したことから再び120円台に戻す展開で、120円を中心としたレンジは破れていません。
その後の黒田総裁の記者会見でも「物価の上昇基調は変わっていない」と、従来のコメントを繰り返すことに終始し、追加緩和の可能性を探る手がかりは得られませんでした。昨日の会合では追加緩和はないと予想していましたが、市場ではこれまでにない程期待感が強かったのも事実です。今回見送られたことで、逆に30日の会合では「ある」との見方がさらに増しているようです個人的には、現時点では「ない」と予想していますが、「ひょとしたら」という考えがないわけではありません。市場の期待値が徐々に増しており、「外堀」が埋められてきそうな気もします。会合までにはまだ3週間ほどあるため、今後も経済データや発言を注意深く見て行きたいと思います。
本日は、FOMCメンバーの講演が多いのが特徴的です。特に、ブラ-ド・セントルイス連銀総裁は、先日の大きく予想を下回った後の講演でも、年内の利上げの可能性に言及した経緯があります。その後もISM非製造業などの経済指標が軟調な結果になっていますが、それでも年内利上げの姿勢を見せるのかが、注目されます。
またサンフランシスコ連銀のウイリアムズ総裁は、イエレン議長が同地区の総裁を長く務めていたこともあり、議長に近い総裁といわれています。どのような認識を示すのか注目したいと思います。コチャラコタ総裁は、まもなく任期満了で退任する予定ですので、注目度は低いと思います。
3人の総裁の講演に加え、本日はFOMC議事録も公表されます。今回は9月の追加緩和を見送った、その会合の議事録です。どんな議論が戦わされたのか興味のあるところですが、その後イエレン議長は講演で「自身も含めて、多くの
メンバーが年内の利上げが適切であると考えている」といった発言をしています。中国など、新興国への影響を考慮して利上げを見送った面もありますが、基本的には利上げに前向きな議論がされたことが確認できる内容だと予想します。
日米欧の株価が戻り歩調を見せています。ダウは直近安値から900ドルの上昇を見せており、日経平均も1300円ほどの反発です。米利上げが見送られたにも関わらず、ドル円が120円近辺で推移しているのも、株価が堅調だから、と見ることができます。米長期金利は低位で安定しており、ここからドルの上昇は読み取れません。従って米株価の上昇基調が崩れた時が、ドル円が再び下値を試すタイミングなのかもしれません。
本日のレンジは119円30銭~120円50銭程度を予想します。