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プロダクトのないICOプロジェクトは本当に問題なのか再考してみる

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気づいてなかったのですが、ポインさんのブログで日本でICOをやったプロジェクト「Alis」に関する記事が先日書かれており、自分のツイートも引用されていました。

ツイートが引用されること自体は別に問題ではないですが、一部文脈が抜け落ちていて自分が特に意図してなかったことに捉えられるかもと思ったので、一部補足と、プロダクトのないICOについてこちらのブログで改めて考察してみます。(ICOに関する記事は久しぶりな気がしますね)

 

ICOプロジェクトが過大評価され、プロダクトをリリースできない理由

btcnews.jp

 

自分が考えるICOの構造的な問題点とプロダクト開発の不在の理由については、数か月以上前にBTCNに寄稿したこちらの記事で比較的上手くまとめられたのではないかと思います。

 

記事としてはもう古くなってきてますが、ICOの問題点の指摘としてはまだ成立していますし、未だにプロダクトが存在していないICOが大部分なのは変わらないでしょう。今年の夏~秋、ICOのハイプが最高潮に達していた時との違いは、投資家や市場が現在の開発の遅れや投資としてのICOの魅力の低さに少しづつ気づき始め、調達が失敗するプロジェクトも増えてきていることでしょうか。

 

プロダクト不在のコミュニティ作り?

本題に入ります。今回の記事で自分のこちらのツイートが引用され、これが現在まだプロダクトが存在しない日本のAlisというプロジェクトへの批判のような形で紹介されていました。

 

まず若干の訂正ですが、上記のツイートは元々Alisを意識して言ったものではありません苦笑。ただし、Alisに当てはまることも多いと思うので少し追加で説明します。

 

これは実はイスラエルに先日いた時に、ICOのプロモーションなどを行っている会社の関係者と話をしていた時に出たトピックです。もっと言えば、むしろ「コミュニティがあるかどうかは結構重要だ」という趣旨の自分の発言に対して、PR会社の人がむしろそれを一部否定して、「コミュニティなんかより、重要なのはプロダクトがあるかどうかだ」という発言をしたものです。

これは自分はすごく興味深い発言だと思います。なぜならICOのPR会社はICOを宣伝したり、いわゆるコミュニティを創出したり運営したりすることのプロで、その人たちが「コミュニティ作りなんていうのは過大評価されている(そんなことは簡単だ)。本来全てプロダクトありきの話だ」、と言ってるわけですから。


もう少し具体的にAlisについて言うとしたら(正直自分はAlisについて細かく最新状況を追っているわけではないので、印象ベースになりますが)、別にプロダクトない状態で、ファンやコミュニティを作ろうとしていることを全て否定するわけではありません。

Alisの公式Twitterアカウントが後日コメントしているように、

 

当然企業として優先順位をつけつつも、他の業務は続行しなくてはいけないわけで、開発担当以外の人達もそれぞれ別の業務を分業するべきですし、そんなのは当たり前です。(まあ、開発にもっと人員を割け、などの批判は出来るかもしれないですが)

 

最近も、取引所が何かしらのアナウンスやキャンペーンなどを打つたびに、公式アカウントに対して、「早くサーバーを増強してください」「落ちなくなってからそんなことしろ」とか言う絡みをよく見るのですが、正直ちょっとかわいそうだな、と思うところもあります苦笑

企業としても当然色々同時並行で進めなくちゃいけないわけで、全て一気に解決できるわけでも、全ての人の不満を解消できるわけではないですからね。

 

プロダクトが存在しないICOの本当の問題とは?

では、プロダクトがなくても、プロダクトを鋭意開発しつつ、コミュニティも同時並行で盛り上げていけば何も問題ないじゃないか、と言っているかというと、実は全然そんなことはありません。

 

個人的に問題だと思っているのは、プロダクトがないのにトークンがすでに取引所で上場されていて、コミュニティを盛り上げるという名目でトークン価格を煽ってインサイダートレードが出来てしまったり、ある時点まで期待値だけ上げ続けることが出来てしまうことです。ある意味でこれがICOプラクティスの一番のガンだとも言えるかもしれません。

 

プロダクトが存在しないのにトークンがトレード出来てしまう場合、市場ではある種の「空気」とか「プロダクトへの期待値」みたいなよくわからないモヤモヤしたものが先にトレードされているわけです。

この状態で何が起きえるかというと、まともなプロダクトやユーザーベースが出来る前に、マーケティングやパートナーシップのアナウンスなどが連発され、プロダクトリリースを待たずしてコイン価格が数十倍などに跳ね上がることです。Factom、Augur、MobileGoなど、意図的かどうかは別としてこういうケースは本当に多いです。

 

別にコインの価格が上がるのは問題ではないような気もしますが、ICOの場合はインサイダートレードの規制やプリセールの参加者の売り抜け防止などの対応がないため、公式による価格操作、煽り行動が簡単にできてしまうのがまずいです。


Alisのケースにも当てはまりますが、そういうことではなく本当に完全な善意や戦略としてコミュニティ作りをしているということなのかもしれませんが、公式による煽りなのか、本当によかれと思って先にコミュニティを作っているのかの違いは外から見てる限りはわかりません。(まあ疑いすぎだろ、とか言われそうですがw)

つまり、プロダクトがまだないのにコミュニティを作ること自体は問題ではないですが、トークンがすでに取引所に上場されトレードされていることで、市場操作、モラルハザードが起きてもおかしくない状態を批判しています。

 

ICOトークンはプロダクトが存在するまで取引所上場させるべきではない

一言で言えば上記の通りです。

 

これは別にAlisに限ったことではないですが、自分はプロダクトや実ユースが存在しないICOトークンを取引所に上場すること自体をやめるべきだと個人的にしばらく主張しています。

もちろん、先行上場にはユーザーにとってもメリットもありますし、出来るだけ早くトレードしたいという需要も理解できます。また取引所としても一早くコインを上場させることで競合との差別化が図れたり、メリットも少なくないでしょう。

 

ただしプロダクトの存在しないトークンのトレードこそ、インサイダートレード、不平等な一部投資家のリスクなしの売り抜け、公式からの煽り、「コミュニティ」の拝金主義化など色んな問題の大きな原因になっていると思います。

 

逆にトークンがトレード出来ないのなら、トークンの価格変動などに気を取られる必要なくプロダクト開発に集中しつつ、プロダクトリリースに備えつつ良質なユーザーコミュニティーを作ろう、というのはむしろ健全だと思います。

最後に

というわけで久しぶりにICOの話をした気がしますが、イスラエルは本当にICOプロジェクト、またこれからICO実施を予定しているところも多く、自分も改めてICOの是非について考えさせられるところはありました。

特に自分はICO大嫌いのように思われてるかもしれませんが(笑)、プロダクトが存在するICO、不必要な金額を要求しないICO、ユーザーへのリスクをきちんと説明しているICOについては特にそこまで批判は実はしてません。

今回の話のように、プロダクトない状態の投機市場の存在などはいまだに問題だと思いますが、ICOに関しても業界、投資家ともに少しづつ冷静さを取り戻してきている空気もあり、それは良いことだと思いますし、ICOのベストプラクティスが今後完成していけばいいなーと遠目から思います。

 

そして、なんか今回名指しで一部批判しましたが、Alisもまともなプロダクトを出来るだけ早く出して、スキャムとか言ってたやつどこだ、とドヤってくれることを淡く期待しておきます。自分は別にスキャムとは言ってないけどね笑(あ、ちなみにICO前に昔さらっと読んだAlisのホワイトペーパーは、お世辞にもレベルが高いとは言えなかったと思ったのは白状しておきます)

 

【宣伝】

上記のようなICOの問題点、取引所とICOトークンの関係性、また韓国やイスラエルなど海外の暗号通貨界隈の事情などはコインストリートで動画で色々議論しています。今回の記事のような話が面白いと思ったら、是非こちらもチェックしてみてください。結構色々えぐってますw

ビットコインについて「ビットコインを語ろう2.0」のブログを中心に、特に非技術者に向けて様々なメディア、講演会などで情報発信している。専門はビットコインのブロックチェーン技術の通貨以外への応用ビットコイン2.0と呼ばれる分野。日本のビットコイン業界を世界に追いつかせるべく、国内、海外の複数のプロジェクトに参画中。
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