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暗号通貨と訴訟(既存の法律)の微妙な関係 ICOトークン編

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鳴り物いりで200億円以上のお金をICOで調達しにも関わらず、結局内部崩壊で何もできないまま終了しそうになっているTezosが訴訟されるということで一部界隈で話題になってます。

markethack.net

マーケットハックのこちらの記事でも簡潔にまとめられていますが、この訴訟は今後のICO市場全体に影響を及ぼす可能性があるので自分も注目しています。

 

で、Tezosの件に限らないですが最近(まあ以前から)暗号通貨業界でもこの訴訟とか、訴訟リスクが話題に上がることがあり、暗号通貨やICOなどに訴訟や既存の法律がどのように関わってきているかを今回考えてみます。法律の解釈の話ではなく、このような判決になったらそれは暗号通貨にどのように影響を及ぼしうるか、という話です。(正直法解釈などは自分には全く出来ないのであしからず)

 

今回はとりあえずICOトークン編で、次以降の記事でハードフォク、フォークコインと訴訟(リスク)の関係について書いてみる予定です。

 

ICOトークンと訴訟リスク

ICOトークンと訴訟の話は本来そこまで難しい話ではありません。

 

これは確か以前別の記事か動画でも説明してましたが、ビットコインなど特定の発行主体が存在しない、いわゆる「暗号通貨」と、ICOなどの発行主体が存在する「トークン」は本来分けて考えられるべきものです。

 

そもそもビットコインの革新性は「発行主体がいない」「プロトコルに従うことで直接コインが生成される」部分であり、発行主体がいないから誰を訴えるんだ?という問題がありました。

 

過去にもデジタルマネーを作ろうというサイファーパンクの動きなどが最終的に失敗したのは、究極的には発行主体がいたから、そこを抑えてしまえば訳なく潰せたから、とも言えるそうです(この辺もうちょい自分でも歴史を学ぶ必要がありますが)

 

なので、暗号通貨は本来設計的にも訴訟リスクなどには強いはずですが、ICOトークンはコインの発行主体が存在してそれを投資家に売るという行為をしているわけで、それが証券を売る行為などと見なされればモロに規制や訴訟、罰則などを食らうリスクがあります。これは前から言われているし、そこまで真新しいことでもないです。


特定のICOトークンが証券とみなされ、ICOの多くが違法に証券を販売しているという判断が仮にされたとしたら、ICOトークンの価格が軒並み爆下がりしたり、取引所がICOトークンを除外したり(トレード出来なくなったり)、場合によってはトークン保有者へ責任が追及される可能性があることも、ICOの訴訟リスクとして当然考えておくべきでしょう。

 

ただし、ここで一点興味深い点があります。

ビットコインなどは発行主体がいないから訴訟リスクに強い、という話がありましたが、今回ニュースにもなっているTezosはどうなのか?という話です。

最近のICOの大部分は、イーサリアムというプラットフォーム上でトークンを発行して、それを何かしらのサービスやプロジェクトに組み込んで事前に売り出す、というパパターンが大半です。

一方、Tezos自身は本来イーサリアムなどと競合することが期待されていたスマートコントラクト「プラットフォーム」です。ICOで売りに出されたコインも、いわゆる「Utility token」(機能ベースのトークン)ではなく、Tezosの場合はProof of Stake型のコンセンサス形成に必須となる「Protocol token」(プロトコルトークン)でした。

このようにプロトコルトークン自体を事前にICOで売りに出したプロジェクトは他にも複数あり、有名なものでは「Lisk」「Waves」など、そして「Ethereum」自身がプロトコルトークンICOの走りでもあります。

 

今回仮にTezosのプロトコルトークンのICOでの販売が違法な証券販売とみなされるなら、これはその他の「明らかに」法律を破ってそうなUtilityトークンICOだけではなく、プロトコルトークンのICOにも疑問を投げかけることになりかねません。その場合、Ethereum、Lisk、WavesなどそれぞれにFoundationが存在するので、確率は低いと思いますがそこが訴訟対象に将来なってきたりするのかもしれません。
(実際イーサリアムのEther ICO自体のスキームに疑問を投げかける人も少数派ではありますが存在します)

Tezosの場合、結局トークンの分配すらままならない段階でのプロジェクト崩壊ということで解釈が少し変わってくるのかもしれないですが、本来訴訟リスクなどに強いと考えられていたビットコイン含むプロトコルトークンさえも、ICOをすることで訴訟リスクが付きまとう、場合によっては開発停止、返金要求などが起きる可能性があるとすると考えさせられる部分も多いです。

 

ICOにとって訴訟は悪いことか?

自分個人としては今のICOの大部分は悪質だと思ってますし、ただのレモン市場に過ぎないと思っているので、今回のTezosのケースなどで訴訟→判例が出てくるのはICO全体の健全化の点では悪いことではないと思っています。正直わけのわからないICOのステマなどで界隈があふれていたり、今がチャンスとばかりに昔から業界にいる人たちさえよくわかってない人たちからお金を巻き上げているような現状は、何か大きなショックがないともう変わらないと思いますし、Tezosの件が目覚めになるならそれはそれで問題ないんじゃないでしょうか。

 

というわけでTezosの件は単純なICO判例というだけでなく、プロトコルトークンのICOの側面からも重要なケースになるかもしれず、やはり注目です。

 

The DAOに関してSlockの管理や大きな影響を認めたSECの告知も興味深かったですが、今回の判例次第では管理主体がいないプロトコルトークンだ、という主張が跳ね返される可能性もあり、果たしてどこまで既存の法律が「暗号通貨」を裁けるのか興味深いです。場合によってはビットコイン自体の将来にとっても疑問符が出てくるかもしれないですしね(最近自分は政府や金融機関がビットコインやフォーク問題に与える影響をモヤモヤ考えてます)

自分はむしろTezosにはむしろ少し期待してたくらいなので、こんなダサい形で終わってしまうのは少し残念だと感じてますが、まあICOハイプを正式に終わらせることになったらある意味歴史に残るのかもしれません笑

あ、そしてICOレモン市場の続編、どういう風にICOを規制すべきか、規制なしでブロックチェーン技術やスマートコントラクトを応用してICOを健全化させることが出来るのか、という考察動画も近く公開予定なので是非見てください。Soon tm!!!笑

ICOレモン市場①ビデオ

www.youtube.com

 

 

 

ビットコインについて「ビットコインを語ろう2.0」のブログを中心に、特に非技術者に向けて様々なメディア、講演会などで情報発信している。専門はビットコインのブロックチェーン技術の通貨以外への応用ビットコイン2.0と呼ばれる分野。日本のビットコイン業界を世界に追いつかせるべく、国内、海外の複数のプロジェクトに参画中。
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